オリジナル商品とコピー商品
ハンドメイドの商品を販売するにあたって、商品の企画はとても楽しいです。いろいろなアイディアを出して、それを形にして、製品化、販売につなげていく過程はあっという間に時間がたってしまいます。
しかし、楽しさに任せて製品化をしてしまうと、全く売れない!となってしまう時が結構あります。
今回は、ハンドメイド販売を始める初期の時、どのような製品化の方法をとると良いかをまとめます。
オリジナル製品とコピー製品
コピー製品と聞くと、コピー製品は、きたない!ひきょうだ!独自性のあるオリジナル製品で勝負すべきだ!と考える方が多いと思います。
しかし、ハンドメイド販売を始めたばかりのときに、オリジナル製品で勝負をかけるのは色々とリスクがあります。
・類似品が無いため、市場調査ができず、どれだけ売れるのか予測が立てられない。
・類似品が無いため、適切な価格設定が難しい。
・検索キーワードなどでヒットしづらくお客様に気づいてもらえない。
逆にコピー製品の場合は下記のメリットがあります。
・ 類似品の「お気に入り」の数を調べ、市場の大きさを知る事ができる。
・ 「お気に入り」が多い製品のコピーをすれば必ず売れる。
・ 「お気に入り」が多い製品の価格より安い価格設定をすれば必ず売れる。
僕は違法でないコピー製品であれば、ちゃんとした販売戦略だと考えています。しかしながら、どこまでのコピーは違法なのか、何の法律で守られているのかをちゃんと理解したうえで販売をする必要があります。今回はコピー商品に関してまとめました。
違法コピーの注意
コピー製品を販売する際に重要なのが、違法コピーでないことです。
気をつけないといけない法律は下記のとおりです。
1. 著作法
2. 特許法、実用新案法、意匠法
3. 商標法
4. 不正競争防止法
1. 著作権法
著作権法はハンドメイド作家さんの作品に関してもっとも注意しないといけない法律です。著作権法によると、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義されており、権利は著作物を創作した時点で発生します。 権利を得るための手続は必要ありません。またその権利の有効期間は長く、著作者死亡後70年までとされています。
ですので、人気作家さんの作品をコピーをして販売を行うと違法になってしまいます。
しかしながら、いくら人気のハンドメイド作家さんの作品であっても、「著作物」でなければ、著作権法では対象外となります。
著作権法10条1項に「著作物の例示」がされており、「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」とあります。ハンドメイド作家さんの作品が、上記の例示に該当しない場合は、著作物になりません。「絵画、版画、彫刻」と並ぶような美術品とは言えず、単なる工業製品であったり、芸術性のない量産品である場合は対象外となります。もし、そのような製品を権利化したい場合は、2.の意匠法で権利化をする必要があります。
2.特許法、実用新案法、意匠法
この3つの法律に関しては、特許庁に登録しないと権利が認められません。さらに特許、意匠では、登録時に審査があり、その審査を通過し登録を行わないと権利化ができません。
特許庁の"特許情報プラットフォーム"で検索をかけ、権利化されているものは製品化する事ができません。逆に言うと、上記で登録されていないものは、権利化がされていないということになります。また、権利となる期間が法律で決められていますので、その期間が終わっていれば、それに関しても権利外となります。※素人では調べきれない場合は、弁理士さんに調査をお願いすることも可能です。
3.商標法
商標に関しては、意外に盲点で気をつけないといけません。商標は文字だけでしょ。と思いきや、立体商標というものもあります。例えば、マ●オやミ●キー、有名ブランドのバックなど立体商標が取られているものもあります。文字ではなく立体的な形状で権利化されています。商標は登録料を払い続ければ永久に権利化ができてしまいますので、発売後時間がたっているから大丈夫。ということも通用しません。コピー商品を販売する際は商標の確認も必要です。
4.不正競争防止法
不正競争防止法はあまり知られていませんが、商品の形態をデッドコピー(そっくりそのまま模倣)をしてしまった場合、商品形態模倣に該当し、不正競争行為として差止めや損害賠償請求の対象となる場合があります。その期間は、オリジナルの商品が日本国内で最初に販売されてから3年間に限ります。
ですので最初に販売されてから3年間は、デットコピー商品を販売する事ができませんので要注意です。
違法性のないコピー商品の販売
違法性のないコピー商品でしたら、堂々と販売する事ができます。コピー商品は、販売数量も見込めるため、失敗するリスクも減ります。
しかしながら、素人ではどこまでが違法なのか判断がつかない場合があります。また、違法かどうかは、白黒はっきり決められているわけでなく、グレーな場合が多いです。もしグレーな場合は、オリジナルの作家さんから訴えられ、裁判になってしまう場合もあります。
それを避けるためには、事前に弁理士さんに相談をすることが重要です。この時重要なのが、詳しい人に聞いたから大丈夫。と安心してはいけません。弁理士の資格を持っていない人が、弁理士法に定められた業務をすることを行うのは違法行為となりますので、詳しい人ではなく、必ず弁理士さんに相談をする必要があります。
オリジナル製品の販売
いくらコピー商品が楽に売れるからと言って、ずっとコピー商品のみの販売をしていては良くありません。
オリジナル性が無いとファンになってくれるお客様が着いてくれません。ファンとなるお客様がついてくれないという事は、リピーターがつかない。ということになります。
また、コピー商品の場合は薄利多売ビジネスになってしまう場合が大半です。独自性の高い商品を販売すれば、著作物となり、逆にコピーされにくくなります。また、作家として名前が売れてくれば、価格を上げ、利益を高めることもできます。
ですのでハンドメイド販売を始め、ある程度売れるようになってきたら、コピー商品から卒業し、オリジナル製品の企画・販売を行うことをお勧めします。